甲状腺外来

当クリニックの甲状腺外来

当クリニックでは、症状や病状などから甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や甲状腺機能低下症(橋本病など)が疑われる方に各種の検査を行い甲状腺異常の有無を調べる診断をおこなっております。
また、甲状腺専門病院や大学病院などの専門外来でのフォローアップが終了した方への定期的な甲状腺ホルモンチェックや継続的にお薬【甲状腺ホルモン薬のチラージンS(成分名:レボチロキシン)など】の処方が必要な方へ向けた甲状腺外来を行っております。お気軽にお問合せ下さい。

甲状腺とは


甲状腺甲状腺はのどぼとけのすぐ下にある臓器で、正面から見ると蝶が羽を広げたような形をしており、食べ物に含まれているヨウ素で甲状腺ホルモンを生成しています。
生成されたホルモンは、血液の流れに乗って、心臓・肝臓・腎臓・脳などの全身の臓器に運ばれ、身体の新陳代謝を活発にすることや成長・発育・エネルギー産生・代謝・循環器の調整などをつかさどる重要な働きをしています。

甲状腺ホルモンの異常からくる症状

甲状腺の働きに異常があると様々な症状が現れます。

甲状腺ホルモンが
過剰の場合
  甲状腺ホルモンが
不足している場合
脈が速く、ドクドクする 脈が遅い 
暑がりになりよく汗をかく 寒がりになります
皮膚が汗の為ベタベタします 皮膚がカサカサに乾燥します
手足の震えがあらわれます 言語や動作が遅くなります
体重が減少します 体重が増加します
イライラしやすくなります 眠気、物忘れがでてきます
ゆるい便がでやすくなります 便秘になりやすいです
希少月経になります 過多月経になります
共通症状
だるさを感じます 
疲れやすくなります
足などにむくみがでます
髪の毛が抜けやすくなります
甲状腺が腫れる(首にしこりがある)

甲状腺ホルモン異常の自覚症状は、同時にすべてを自覚するわけではありません。また、これらの症状は、甲状腺疾患特有の症状というわけではありませんので、そのため、問診、血液検査、超音波エコー検査、等を実施し、診断する必要があります。

甲状腺疾患について

甲状腺の異常は主に下記の3つに分類されます。

甲状腺機能亢進症

甲状腺のホルモンが過剰な状態です。

  • バセドウ病
  • 無痛性甲状腺炎
  • 亜急性甲状腺炎 など

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンが不足している状態です。

  • 橋本病(慢性甲状腺炎)
  • 粘液水腫
  • 手術後甲状腺機能低下症
  • アイトソープ治療後 など

結節性甲状腺腫

甲状腺に腫瘍ができた状態で、腫瘍は良性と悪性があります。

良性

  • 腺腫様甲状腺種
  • 濾胞腺腫
  • のう胞 など

悪性

  • 甲状腺癌(乳頭癌・濾胞癌・髄様癌・未分化癌)
  • 悪性リンパ腫など

腺腫がホルモン生成し、甲状腺機能亢進症を示す病気

  • プランマー病(甲状腺機能性結節)

当クリニックで対応している検査

血液検査

甲状腺ホルモン関連検査

TSH

脳(下垂体前葉)から生成されるホルモンで甲状腺ホルモンの分泌を促します。甲状腺機能低下症などでは分泌量が増加し、機能亢進症などでは分泌量が減少します。

FT4

身体の新陳代謝に関与する甲状腺から分泌されるホルモンです。
機能亢進症などでは分泌量が増加し、甲状腺機能低下症などでは分泌量が減少します。

FT3

身体で働く活性型甲状腺ホルモンです。甲状腺から直接分泌されるものは約20%で、約80%は体内のT4から変換されます。機能亢進症などでは分泌量が増加し、甲状腺機能低下症などでは分泌量が減少します。

甲状腺自己抗体検査

抗サイログロブリン抗体(TgAb)

甲状腺濾胞細胞内に貯蔵されているサイログロブリンに対する自己抗体です。慢性甲状腺炎(橋本病)で高頻度に陽性となりますが、バセドウ病でも陽性になることがあります。

抗TPO抗体(TPOAb)

抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体とも呼ばれます。甲状腺組織から抽出されたマイクロゾーム分画に対する自己抗体であり、慢性甲状腺炎(橋本病)やバセドウ病で陽性となります。

TSHレセプター抗体(TRAb)

TSHレセプター抗体とは、 甲状腺組織のTSH受容体に対する自己抗体であり、バセドウ病では90%以上が陽性となります。この抗体がTSH受容体に結合することで、TSH受容体が刺激され過剰な甲状腺ホルモンが分泌されます。

超音波検査

喉の部分に超音波をあてて、甲状腺の形状・大きさ、病変の位置や大きさ・性状、結節、のう胞、石灰化などを確認することができます。検査時間は5分~10分程度となります。

甲状腺の治療について

① 慢性甲状腺炎(橋本病)

甲状腺機能低下症の代表である橋本病ですが、甲状腺ホルモン値に問題がなければ体に影響がなく自覚症状はないので投薬治療は必要ありません。甲状腺機能低下症が存在する場合には、不足している甲状腺ホルモンの量を薬として服用する必要があります。しかし単に不足分の甲状腺ホルモンを補充しているに過ぎないので長期間の治療が必要です。不足分の甲状腺ホルモンが満たされれば、甲状腺機能低下症にまつわる全ての症状は消失します。日常生活は甲状腺ホルモン薬の服用を継続する必要がありますが、仕事・運動・妊娠・授乳など問題なく生活出来ます。

②バセドウ病

甲状腺機能亢進症の代表であるバセドウ病ですが、治療方法としてはまずは抗甲状腺薬での治療を行います。甲状腺機能が正常化した後に、早期の治癒を目指す場合・抗甲状腺薬の副作用で同薬の継続が困難な場合・甲状腺腫大が非常に大きい場合には手術やアイソトープ治療(放射線治療)が検討されます。

③ 甲状腺腫瘍(良性腫瘍・がん)

甲状腺腫瘍の中では腺腫様甲状腺腫(良性腫瘍)の頻度が多いですが、頻度は低いもののその中に甲状腺がんが混じることがあり注意が必要です。甲状腺がんの場合には、手術や放射線治療、抗がん剤治療などが必要となります。

②バセドウ病・③甲状腺腫瘍の治療に関しては、治療の適応に関して内分泌内科・内分泌外科での専門的判断が必要となるため、これらの病気が見つかった際には大学病院などの提携病院や甲状腺専門病院など専門的治療が可能な医療機関へ当クリニックよりご紹介させていただきますのでご安心ください。

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