脂質異常症
脂質異常症とは、「悪玉」のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または「善玉」のHDLコレステロールが減った状態のことを言います。
多くの場合、症状が現れることがありませんが、悪化すると動脈の壁にたまり、血管を硬く狭くして動脈硬化を引き起こします。
主な原因は、過食、運動不足、肥満、喫煙、過剰なアルコールの飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。
検査
高血圧症と同じく主に血液検査を行います。血液中の総コレステロール値・中性脂肪値・HDL-コレステロール値・LDL-コレステロール値を測定して、脂質異常症の有無を判断します。
LH比について
LH比はLDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスを調べる指標です。血管内にどの程度のコレステロールが付着・蓄積しているかを推測することができます。
LH比の計算方法
LDLコレステロール値 ÷ HDLコレステロール値 |
LH比が1.5以上の方は、コレステロールが血管内に付着し始めている状態です。
LH比が2.0以上の方は、血管全体にコレステロールの塊が付着している可能性があります。血管が弾力性を失いドロドロの状態になり、血管が狭くなるリスクが高くなります。
LH比の高い方は生活習慣の見直しを行い、コレステロールのコントロールを行うことが重要です。
治療
食事療法
必要なエネルギー摂取量の範囲内で規則正しく食生活を送るようにします。
脂質異常症の治療では、卵・バター・マヨネーズ・たらこ・鶏レバーなどを使った料理や菓子類などの摂取量を減らすことにより、コレステロールの摂取量を1日300mg以下に抑えることが大切です。また、マグロ・サバ・イワシ・サンマなど青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)や、ゴマ油・アマニ油・グレープシードオイルなどの一部の植物油などに多く含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸」は中性脂肪の合成を抑える作用があるので摂取が推奨されます。
運動療法
軽めの有酸素運動を継続して週3~4回程度行いましょう。
薬物療法
生活習慣の改善で十分な効果が得られない場合には薬物療法が検討されます。
しかし、動脈硬化の発症リスクが高い方や既に動脈硬化を発症し、進行している場合には、診断後すぐに薬物療法を行うこともあります。
高尿酸血症
高尿酸血症とは、尿酸の血中濃度が異常に高まった状態のことをいいます。
尿酸とは、体内で「プリン体」という物質が分解されてできる物質です。プリン体は運動したり、臓器を動かすために常に体内で作られており、主に肝臓で分解され尿酸となり、一時的に体内に溜め込まれた後,尿や便として排泄されます。
尿酸は1日に体内でおよそ700mg生成され、1日で排泄される量も700mgなので、体内の尿酸は常に一定を保っています。
この循環が崩れて、尿酸量が増えると高尿酸血症となり、痛風発作の原因となります。
原因としては、一般的には食べ過ぎや飲み過ぎと知られている事が多いですが、腎臓からの尿酸排泄の低下であると考えられています。
検査
血液検査で血清尿酸値の測定を行い、7.0mg/dL以上を示せば高尿酸血症と診断します
治療
生活習慣の見直し
食生活・飲酒習慣の改善などの食事療法を中心に実施していきます。
薬物療法
尿酸値をコントロールするために、尿酸の過剰生成を抑制する薬、尿酸の体外排泄を促す薬などを処方します。
しかし、痛風発作が起こっている場合は、上記の治療が困難になりますので、消炎鎮痛薬や局所麻酔剤入ステロイド関節内注入などで痛みを緩和する治療を行い、発作が落ち着いてから尿酸値をコントロールする治療に移ります。
高血圧
高血圧は、安静時も血圧の高い状態が慢性的に継続していることを指し、血管に大きな負担をかけ続けます。この状態が続くと動脈硬化が進行し、高血圧を悪化させる原因になります。どちらも自覚症状がなく病状は進行し、動脈硬化の場合は心筋梗塞や脳卒中などの深刻な疾患にかかるリスクが高くなります。治療を継続し、血圧をコントロールしていくことが大切です。
高血圧の基準値
下記の高血圧の基準値を超えている方は、継続的な治療を行い血圧をコントロールすることが必要になります。当クリニックまでご相談ください。
診察室血圧 | 140/90mmHg |
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家庭血圧 | 135/85mmHg |
治療
生活習慣の改善と必要に応じて薬物療法を行います。生活習慣の改善は主に食事の減塩、禁煙、節酒、体重コントロール、週に3回程の運動を続けることなどを行います。これらの生活習慣の改善は、長期的に継続させる必要があるため、ストレスや負担をあまり感じない程度に続け、正常な血圧のコントロールをすることが大切です。ただし、症状の程度によっては治療開始時より早急な血圧値の改善が必要な場合もありますので、医師と相談して治療を行います。
動脈硬化
動脈の壁が次第に硬く、厚くなり血管内が狭くなります。それにより全身の細胞や組織に必要な酸素や栄養分を送るための血液の流れが悪くなり、体内の様々な臓器が合併症を引き起こします。
動脈硬化の3大危険因子として高血圧・高脂血症・喫煙が挙げられますが、そのほかにも糖尿病・肥満なども動脈硬化の原因になります。
動脈硬化は無症状で進行していきますので、リスクのある場合には早めに受診し、適切な治療に繋げることが重要です。
検査
血液検査(脂質・血糖)、血圧の測定、身長・体重・腹囲の測定、血管造影、血管内エコー、心電図などを行い動脈硬化の状態を確認します。
治療
動脈硬化そのものの治療は確立されておらず、主に生活習慣の改善を行います。必要に応じて薬物療法なども併用して治療を行います。
食事療法
必要なエネルギー摂取量の範囲内で規則正しく食生活を送るようにします。
節酒を行い、肉・魚介・野菜をバランスよく摂ることを心掛けます。
運動療法
軽めの有酸素運動を継続して週3~4回程度行いましょう。
薬物療法
中性脂肪やコレステロール値を下げる薬などを処方します。
定期的に検査を行い薬物療法の効果を評価していきます。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは内臓型肥満に高血圧・脂質異常・高血糖などを併発している状態で、動脈硬化が原因となって引き起こされる心臓病、脳卒中の発症リスクが高くなる疾患です。
内臓型肥満は高血圧症・脂質異常症・糖尿病の発症に繋がりやすくなり、これらが重複し、重複因子が多くなるほど動脈硬化を進行させるリスクが高まります。
メタボリックシンドロームの診断基準
ウエスト周囲径
内臓型肥満があることが必須条件です。
男性 | 男性85cm |
---|---|
女性 | 女性90cm以上 |
血圧・血中脂質・血糖の数値
ウエスト周囲径が基準値を超え、下記2項目以上に該当する場合はメタボリックシンドロームと診断されます。
血圧
収縮期(最大)血圧≧130mmHg |
拡張期(最小)血圧≧85mmHg |
血中脂質
高トリグリセライド血症 ≧150mg/dl |
低HDLコレステロール血症 <40mg/dl |
血糖
空腹時高血糖 ≧110mg/dl |
治療
内臓脂肪を減らすために、食事療法や運動療法などの生活習慣病の改善を行います。
バランスの取れた食生活や定期的に適度な運動を行うことで、適正体重へ近づけていきます。
当クリニックでは、メディカルダイエットを行っており、肥満症に悩む方への安全性の高いアプローチを行っております。
これまでダイエットが上手くいかなかった方やリバウンドしてしまった方などお気軽にご相談ください。