糖尿病で使用されるお薬について

血糖値を下げる飲み薬

血糖値を下げる飲み薬糖尿病で血糖値を下げるための薬はその作用ごとに様々な種類があり、以下に分類されます。

インスリンを出しやすくする薬

インスリンは肝臓のβ細胞から分泌されます。β細胞に働きかけ、インスリンの分泌を促します。

インスリンを効きやすくする薬

インスリンの抵抗性を改善し、インスリンを効きやすくする働きをします。

糖の吸収・排泄を調整する薬

糖の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑制し、糖を尿として排出させたりします。

配合薬

異なる作用を持つ薬を配合したものです。

インスリンを出しやすくする薬

スルホニルウレア薬(SU薬)

一般名(商品) ・グリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン)
・グリクラジド(グリミクロン)
・グリメピリド(アマリール) など
作用 膵臓のβ細胞に作用し、インスリンの分泌を促進することで血糖値を下げます。
副作用 ・低血糖
・体重増加
・肝機能障害
・無顆粒球症 など

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

一般名(商品) ・ナテグリニド(ファスティック、スターシス)
・ミチグリニドカルシウム水和物(グルファスト)
・レパグリニド(シュアポスト) など
作用 服用後にすぐに効きはじめ、インスリンを分泌させ食後の高血糖を改善させます。
副作用 ・低血糖
・肝機能障害
備考 ・食事の5~10分前には服用しましょう。
・SU薬と比べて血中からの消失・吸収がはやい。

DPP-4阻害薬

一般名(商品) ◦毎日服用
・シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア、グラクティブ)
・ビルダグリプチン(エクア)
・アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)
・リナグリプチン(トラゼンタ)
・テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリア)
・アナグリプチン(スイニー)
・サキサグリプチン水和物(オングリザ)

◦週に1回服用
・トレラグリプチンコハク酸塩(ザファテック)
・オマリグリプチン(マリゼブ)
作用 ・体内でインスリン分泌を促す物質の作用を強め、血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制する「インクレチン」というホルモンの作用を助けます。
副作用 ・低血糖
・便秘、下痢
・吐き気
備考 ・血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するので、単独の使用では低血糖となりにくいです。ただし、スルホニルウレア薬と併用すると同リスクが高くなります。

GLP-1受容体作動薬

一般名(商品) 【内服】
・セマグルチド(リベルサス) 1日1回 【皮下注射薬】
・ビクトーザ(リラグルチド) 1日1回
・オゼンピック(セマグルチド) 週1回
・バイエッタ(エキセナチド) 1日2回
・ビデュリオン(エキセナチド) 週1回
・リキスミア(リキシセナチド)1日1回
・トルリシティ(デュラグルチド)週1回
作用 膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促すと同時に、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制します。
副作用 ・低血糖
・便秘、下痢
・吐き気 など
備考 ・血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するので、単独の使用では低血糖となりにくいです。ただし、スルホニルウレア薬と併用すると同リスクが高くなります。
・体重減少を期待できます。

グリミン系

一般名(商品) ・イメグリミン塩酸塩錠(ツイミーグ)
作用 ほぼすべての細胞に存在するミトコンドリアを介して2つの方法で血糖を下げます。
①β細胞を刺激して、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。また、β細胞を保護します。
②肝臓・骨格筋での糖代謝を良くし、インスリン抵抗性を改善します。
副作用 ・低血糖
・悪心
・下痢、便秘 など
備考 ・血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するので、単独の使用では低血糖となりにくいです。ただし、スルホニルウレア薬と併用すると同リスクが高くなります。

インスリンを効きやすくする薬

インスリンを効きやすくするインスリン抵抗薬は以下があります。

ビグアナイド薬

一般名(商品) ・ブホルミン塩酸塩(ジベトス)
・メトホルミン塩酸塩(メトグルコ、グリコラン)など
作用 ・肝臓から糖の放出を抑えたり、インスリンに対する身体の感受性を高めます。
副作用 ・食欲不振
・吐き気
・便秘、下痢
備考 ・単独の使用では低血糖となる可能性が少ないです。
・体重が増えにくいです。
・高齢者や他の疾患のある方は副作用が重く出ることがあります。
・飲酒量の多い場合はこの薬は使えません。

チアゾリジン薬

一般名(商品) ・ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス)
作用 インスリンに対する身体の感受性を高めます。
副作用 ・低血糖
・肝機能障害
・むくみ
・体重増加 など
備考 ・単独の使用では低血糖となる可能性が少ないです。

グリミン薬

一般名(商品) ・イメグリミン塩酸塩(ツイミーグ)
作用 ほぼすべての細胞に存在するミトコンドリアを介して2つの方法で血糖を下げます。 ①β細胞を刺激して、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。また、β細胞を保護します。 ②肝臓・骨格筋での糖代謝を良くし、インスリン抵抗性を改善します。
副作用 ・低血糖
・悪心
・下痢、便秘 など
備考 ・血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するので、単独の使用では低血糖となりにくいです。ただし、スルホニルウレア薬と併用すると同リスクが高くなります。

糖の吸収や排泄を調整する薬

食べ物の糖を消化管でゆっくり吸収させて、食後に血糖の急な上昇を抑えたり、身体に取り込んだ余分な糖を尿中に出す作用がある薬です。

α-グルコシダーゼ阻害薬

一般名(商品) ・アカルボース(グルコバイ)
・ボグリボース(ベイスン)
・ミグリトール(セイブル)など
作用 ・腸での糖の吸収を遅らせて食後の急激な血糖値の上昇を抑えます。
副作用 ・低血糖
・腹部膨満感、放屁
・下痢 など
備考 ・食事の5~10分前には服用しましょう。
・低血糖の時は必ずブドウ糖を服用してください。

SGLT2阻害薬

一般名(商品) ・イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ)
・ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ)
・ルセオグリフロジン水和物(ルセフィ)
・トホグリフロジン水和物(デベルザ、アプルウェイ)
・カナグリフロジン水和物(カナグル)
・エンパグリフロジン(ジャディアンス)
作用 ・尿細管でブドウ糖の再吸収を阻害し、ブドウ糖を尿とともに排出します。
副作用 ・低血糖
・脱水症状
・腎盂腎炎などの感染症
・頻尿
・皮膚症状 など
備考 ・糖の代謝に関わるインスリンに直接関与しないため単独の使用では低血糖となる可能性が少ないです。
・高齢者、体調の悪い人などは、稀に重度の副作用が出ることがあります。

配合薬

異なる作用を持つ薬を複数以上組み合わせたものを配合薬と呼びます。作用、副作用は、配合された薬によって異なります。

一般名(商品) ・ピオグリタゾン塩酸塩+メトホルミン塩酸塩(メタクト配合錠LD/HD)
・ピオグリタゾン塩酸塩+グリメピリド(ソニアス配合錠LD/HD)
・アログリプチン安息香酸塩+ピオグリタゾン塩酸塩(リオベル配合錠LD/HD)
・ミチグリニドカルシウム水和物+ボグリボース(グルベス配合錠)
・ビルダグリプチン+メトホルミン塩酸塩(エクメット配合錠LD/HD)
作用・副作用 ・配合されている薬によって変わります。
備考 ・飲む薬の数が減るので飲みやすくなることが期待されます。また、管理もしやすくなります。
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