健康診断で要検査・要治療になった方へ

健康診断の結果は今後の健康管理に活かしていきましょう

健康診断の結果が返ってきて、「要注意」や「要検査」を指摘された場合でも、特に症状が出ていないことで受診せずにそのままにしてしまっている方も多いのではないでしょうか。
健康診断の目的は、リスクの高い状態を見つける事ですので、実際に受診して精密検査を受けたら問題ないケースも多くあります。
しかし、健康診断の結果を理解して今後の健康管理に活かすことで、重篤な疾患を防いだり、生活に支障を及ぼすほどの治療が必要になることを防ぐことが可能になります。
当クリニックでは、職場などで受けた健康診断で受診を勧められた方や健康診断で受け取った検査結果について詳細を知りたいという方へのご相談を受け付けております。お気軽にご相談ください。

健康診断の結果の見方

日本人間ドック学会が公表している健康診断結果の判断区分はA-Eの5段階です。

判断区分 内容
A 異常なし
B 軽度異常
C 要再検査・生活改善
D 要精密検査・治療
E 治療中

A 異常なし

その項目の測定数値が正常の範囲内ですので、特に心配する必要はありません。

基準値とは

20~60歳くらいの健康な人々の検査結果を元に算出されており、上限と下限の2.5%ずつを除外した95%の人の数値が基準値とされています。

B 軽度異常

すぐに治療を必要とする状態ではありませんが、わずかに基準値を超えています。
今までの生活習慣を継続すると、将来的に病気を発症してしまうリスクが高くなりますので、食生活や生活習慣を見直し、健康維持を行いましょう。

C 要再検査・生活改善

正常範囲を超えているため、指示された期間内に再検査を受ける必要があります。
生活習慣の改善を行い、正常範囲内に数値を戻すことや、悪化を防ぎましょう。
当クリニックでは、無理のない範囲で継続できる生活習慣の改善のアドバイスなども行っておりますので、お気軽にご相談ください。

D 要精密検査・治療

何らかの病気を発症している可能性がありますので、精密検査を受ける必要があります。
精密検査は健康診断だけでは特定が難しい疾患についても詳しく調べることが可能です。
当クリニックでは、精密検査や二次検査にも対応しております。


健康診断の各項目

血圧

以下の基準値を超えている方は高血圧と診断されます。

診察室血圧 140/90mmHg
家庭血圧 135/85mmHg

高血圧は、安静時も血圧の高い状態が慢性的に継続していることを指し、血管に大きな負担をかけ続けます。この状態が続くと動脈硬化が進行し、高血圧を悪化させる原因になります。自覚症状がなく病状は進行し、動脈硬化の場合は心筋梗塞や脳卒中などの深刻な疾患にかかるリスクが高くなります。治療を継続し、血圧をコントロールしていくことが大切です。


コレステロール

以下の正常値を超えている方は注意が必要です。

LDL

70~139mg/dL
※血管が詰まってしまう疾患(狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・下肢閉塞性動脈硬化症 等)
を患っている方は70mg/dL以下にするのが良い

HDL 40mg/dl以上
TG 150mg/dl以下

脂質異常症は、「悪玉」のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または「善玉」のHDLコレステロールが減った状態のことで、悪化すると動脈の壁にたまり、血管を硬く狭くして動脈硬化を引き起こします。
心筋梗塞や脳梗塞など重篤な疾患を引き起こすリスクがあるため、適切な治療を受けることが重要です。

血糖値・HbA1c

以下の正常値を超えている方は注意が必要です。
血糖値は食前・食後で変化するため、健康診断では空腹時血糖(食前)を測定します。
HbA1cは測定からさかのぼって過去1~2ヶ月の平均の血糖値を示しますので、直近の食事や運動の影響を受けずに血糖の状態を反映する数値として診断に活用されています。

血糖値 100mg/dL未満
※100~109mg/dLは正常高値と呼ばれ、将来糖尿病になるリスクが高くなりますので、注意が必要です。
HbA1c 5.6%未満

高血糖が慢性化していると血管が常にダメージを受けているということになります。
さらに糖尿病をきっかけとした、糖尿病三大合併症と言われる糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害といった細小血管障害、脳卒中や狭心症・心筋梗塞などの大血管障害、その他の障害を引き起こす可能性が高いです。
血糖値をコントロールすることで、将来の糖尿病の発症や深刻な合併症を予防することができます。
当クリニックでは、糖尿病療養指導医の院長が丁寧な診療を行っております。健康診断で異常を指摘された場合にはお気軽にご相談ください。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満に加え、血圧・血糖・脂質の異常が2項目以上ある場合に診断されます。

腹囲

男性 85cm以上
女性 90cm以上

※内臓脂肪面積100㎠以上相当

血圧

最高血圧 130mmHg以上
かつ/または 最低血圧 85mmHg以上

脂質

中性脂肪 150mg/dL以上
かつ/または
HDLコレステロール
40mg/dL未満

血糖

血糖値 110mg/dL以上

メタボリックシンドロームの状態が継続すると、全身の血管に負担がかかることで動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。
メタボリックシンドロームは複数の生活習慣病が合併している状態のため、早めの治療が必要です。
当クリニックでは、総合内科専門医・糖尿病療養指導医の院長が丁寧な診療を行っております。メタボリックシンドロームを指摘された際にはお気軽にご相談ください。

尿酸値

以下の正常値を超えている方は注意が必要です。

尿酸値 7.0mg/dL 以下

高尿酸血症(痛風)とは、尿酸の血中濃度が異常に高まった状態のことをいいます。尿酸は1日に体内でおよそ700mg生成され、1日で排泄される量も700mgなので、体内の尿酸は常に一定を保っています。
この循環が崩れて、尿酸量が増えると高尿酸血症となり、痛風発作の原因となります。


肝機能

以下の正常値を超えている方注意が必要です。

AST(GOT) 30 IU/L以下
ALT(GPT) 30 IU/L以下
γ-GTP 50 IU/L以下

ASTとALTは肝細胞で生成され、γ-GTPは胆管で生成される酵素です。上記の検査では、肝臓・胆のう・胆管での異常を発見できます。
ASTとALTが正常値を超えている方は、肝炎・脂肪肝・肝硬変などの発症のリスクが高まります。
γ-GTPが正常値を超えている方は、アルコール性、薬剤性の肝障害・胆管や胆のうに異常がある可能性があります。
当クリニックでは、健康診断より詳細な血液検査・超音波検査が可能です。原因を突き止めて適切な治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

貧血

以下の正常値を超えている方は注意が必要です。

血色素量 男性:13.1~16.3g/dL
女性:12.1~14.5g/dL
赤血球量 男性:400~539 (×10⁴/㎜³)
女性:360~489 (×10⁴/㎜³)  
ヘマトクリット値 男性:38.0~48.9%
女性:34.0~43.9%

赤血球やヘモグロビンの値が低い場合には、貧血が疑われます。
鉄分不足が原因のことが多いですが、体内の消化管で出血が起こり貧血と判断されていることもありますので、受診して原因を特定することが重要です。
当クリニックでは、数分で結果が出る採血設備を整えておりますので、必要に応じて再検査を行っています。

尿検査

尿検査では、尿に糖・たんぱく・赤血球が混ざっていないかを調べます。
尿糖が陽性になった方は、糖尿病を発症している可能性があります。
また、尿たんぱく、尿潜血が陽性になった方は、尿路感染症・尿路結石・腎機能障害・腫瘍などの泌尿器疾患や腎臓疾患が疑われます。
当クリニックは腎臓専門医・指導医の院長が丁寧な診療を行っております。数分で結果が出る尿検査の設備も整えておりますので、必要に応じて、迅速に再検査を行っております。


心電図

心電図は、心臓の筋肉に流れている電流を体の表面から記録します。電流の流れ具合に異常がないかを確認でき、心拍数なども測定できるので、不整脈・狭心症・心筋梗塞・心肥大などの心臓の状態を確認できます。
当クリニックでは、循環器専門医の院長が丁寧な診療を行っております。レントゲン検査や超音波検査を併せて行うことで、心臓の疾患のリスクを発見できます。お気軽にご相談ください。

便潜血

便潜血検査は、大腸がんのスクリーニング検査です。便に血液が混ざっていないかを調べます。2回行いますが、1回でも潜血がある場合は陽性となります。どこかの消化管で出血していることが考えられますので、大腸カメラ検査を受けて病変がないかの確定診断が必要になります。内視鏡検査を行っている医療機関に受診してください。

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