ブログ

IgA腎症とは

local_offer腎臓内科

IgA腎症とは

IgA腎症は、免疫グロブリンA(IgA)と呼ばれる免疫タンパク質が腎臓に異常に蓄積し、炎症を引き起こす疾患です。通常、IgAは感染症と戦うために体内で作られる免疫タンパク質ですが、IgA腎症ではこの免疫タンパク質が異常に分泌され、腎臓に蓄積されます。腎臓に蓄積されたIgAは炎症反応を引き起こし、徐々に腎臓の機能を損なっていくことがあります。

IgA腎症の原因

IgA腎症の正確な原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要素や免疫系の異常が関与している可能性があります。一部の人々は遺伝的な素因を持っており、IgA腎症に罹るリスクが高まると考えられています。また、感染症や風邪などの免疫系の刺激がIgA腎症の発症を促すこともあります。アジア系の人種においては喉の奥にある口蓋扁桃の慢性炎症がIgA腎症の発症に強く関連していると言われています。しかしながら、全てのIgA腎症患者において明確な原因が特定できるわけではありません。

IgA腎症の症状

IgA腎症は、初期段階では症状が現れないこともありますが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。

血尿

IgA腎症の最も一般的な症状であり、尿中に血液が混じることがあります。血尿は一時的なものである場合もありますが、慢性的に続くこともあります。

発作性の腰痛

一部の患者では、腎臓の炎症によって発作性の腰痛が生じることがあります。この腰痛はしばしば片側に現れ、激しい痛みとして感じられることがあります。

高血圧

腎臓の炎症が進行すると、血圧が上昇することがあります。この高血圧は、他の要因によるものではなく、IgA腎症自体によるものです。

腎臓の機能低下

IgA腎症が進行すると、腎臓の機能が低下し、尿の排出や体内の余分な水分や老廃物の除去が十分に行われなくなります。これにより、むくみ、疲労感、食欲不振などの症状が現れることがあります。

タンパク尿

腎臓の炎症により、タンパク質が尿中に漏れ出すことがあります。これにより、尿中に泡が現れたり、腫れた手足がみられることがあります。

IgA腎症の症状は個人によって異なる場合があり、一部の患者では症状が軽微で進行がゆっくりとしたものである一方、他の患者では症状が進行し、腎臓の機能低下や合併症のリスクが高まることもあります。正確な診断と治療計画は医療専門家に相談する必要があります。

IgA腎症の検査

IgA腎症の診断には、さまざまな検査が行われます。以下に一般的な検査方法をご紹介します。

尿検査

IgA腎症の最も一般的な検査法は、尿検査です。尿中の異常な成分や炎症の程度を評価するために、尿サンプルが採取されます。主な検査項目には以下が含まれます。

  • 血尿:尿中に血液が混じっているかどうかを確認します。
  • タンパク尿 : 尿中のタンパク質の量を測定します。

血液検査

血液検査は、IgA腎症の診断や炎症の程度を評価するために行われます。主な検査項目には以下が含まれます。

  • 血清クレアチニン: 腎臓の機能を評価するために、血液中のクレアチニン濃度を測定します。
  • 免疫グロブリンA(IgA)の量: IgA腎症の特徴的な要素であるIgAの量を測定します。

これらの検査は、IgA腎症の診断と病状の進行度を判断するために使用されます。また、他の腎臓疾患との鑑別診断にも役立ちます。

IgA腎症の治療方法

IgA腎症の治療は、個々の患者の症状と腎臓の機能に基づいて行います。治療の主な目標は、炎症の抑制、腎機能の維持、および合併症の予防です。以下に、一般的な治療方法をご紹介します。

血圧管理

IgA腎症患者の多くは高血圧を有しています。血圧を適切に管理することは非常に重要です。これにより、腎臓への負担を軽減し、進行を遅らせることができます。一般的には、薬物療法や生活習慣の改善(食事の制限、適度な運動、ストレス管理)が行われます。

免疫抑制療法

IgA腎症は免疫系の異常に起因する疾患であるため、免疫抑制療法が用いられることがあります。これにより、炎症反応を抑え、腎臓へのダメージを軽減することができます。一般的な免疫抑制薬としては、ステロイドや免疫抑制剤(シクロスポリン、アザチオプリンなど)が使用される場合があります。

口蓋扁桃摘出術

アジア系の人種においては喉の奥にある口蓋扁桃の慢性炎症がIgA腎症の発症に強く関連していると言われており、我が国では上述のステロイドによる免疫抑制療法と組み合わせて、『扁桃摘出術+ステロイドパルス療法(通称:扁摘パルス療法)』がIgA腎症の根治を目指した治療手段として広く行われています。

他の治療法

症状や腎機能の状態に応じて、さまざまな治療法が検討されることがあります。

  • 抗血小板薬:血栓形成の予防や血液循環の改善のために使用されることがあります。
  • SGLT-2阻害薬:昨今の臨床研究データより腎機能の悪化抑制目的に有用とされています。
  • コレステロール管理:高コレステロール血症がある場合には、コレステロール降下薬が処方されることがあります。
  • タンパク質制限:タンパク質の制限が必要な場合には、食事指導が行われることがあります。

よくある質問(Q&A)

 

IgA腎症は遺伝しますか?

一部の患者には遺伝的な要因が関与している可能性がありますが、環境や他の要因も関与するため、必ずしも遺伝的な疾患とは限りません。

IgA腎症の治療は可能ですか?

IgA腎症の治療は可能です。治療の目的は主に炎症の抑制、腎機能の維持、および合併症の予防です。口蓋扁桃摘出術や免疫抑制療法や血圧管理など、さまざまな治療法が使用されます。

IgA腎症は他の腎臓疾患とどのように異なるのですか?

IgA腎症は、腎臓の炎症を引き起こす免疫系の異常によって特徴付けられる疾患です。他の腎臓疾患とは異なる病因と病理学的特徴を持ちます。診断には腎生検が必要な場合があります。

IgA腎症の進行はどのようにして診察されますか?

IgA腎症の進行は、定期的な尿検査、血液検査(血清クレアチニンやIgAの量など)、および腎生検によって診察されます。これらの検査は、炎症の活性度や腎機能の変化を評価し、治療計画の調整に役立ちます。

IgA腎症は他の臓器にも影響を与えることがありますか?

IgA腎症は主に腎臓に影響を及ぼす疾患ですが、一部の患者では他の臓器にも影響を及ぼすことがあります。関節痛や皮膚の発疹などの関節や皮膚の症状が見られる場合もあります。また、稀に消化器系や肝臓にも影響を及ぼすことがあります。これらの症状がある場合は、専門医の診断と治療が必要です。

IgA腎症は再発することがありますか?

IgA腎症は再発することがあります。再発の頻度やパターンは患者によって異なります。再発のリスク要因には、年齢、性別、病理学的な特徴、初回の症状の重症度などが関与する可能性があります。また、特定の遺伝的な要因も再発のリスクを高めることがあります。
再発を予防するために、定期的なフォローアップと治療の継続が重要です。医師は定期的な尿検査や血液検査を行い、再発の早期兆候を監視します。また、口蓋扁桃摘出術や免疫抑制療法や血圧管理などの治療が再発予防に役立つ場合があります。

TOPへ