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頻尿となるのは何故?

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はじめに

N O B Uヘルシーライフ内科クリニック院長の藤原信治です。

今回は、頻尿(ひんにょう)に関しての解説や私見を述べさせていただきたく思います。

皆さんは日中や夜間の頻尿でお悩みではないでしょうか?

昼間頻尿:国内患者数約3300万人

夜間頻尿:国内患者数約4500万人

このように頻尿で悩まれている方は非常に多く、

割合的には高齢の方に多いことは事実ですが、若年の方でも起こりえます。

頻尿の定義

そもそも頻尿の定義ですが、日本泌尿器科学会によると、「朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合」の状態を頻尿と定義されています。その上で、1日の排尿回数は人によって様々であり、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とは言えず、「8回以下の排尿回数でも自分自身で排尿回数が多いと感じる場合」も頻尿と言って良いとも追記されております。

頻尿の原因

頻尿の原因は様々であり、概ね下記に大別することが出来ます。

①過活動性膀胱

②残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)

③多尿(尿量が多いこと)

④尿路感染・炎症

⑤腫瘍

⑥心因性(ストレスや緊張・精神的負荷が背景) 

過活動性膀胱

膀胱に尿が十分たまっていないのに、膀胱が自身の意思とは関係なく勝手に収縮してしまうことで、我慢が出来ない程に急に尿意が強くなり(尿意切迫感)、何度もトイレに行くようになります。尿が間に合わず漏れてしまうことがあります(切迫性尿失禁)。過活動性膀胱は日本では1000万以上もの男女が罹患している頻度の多い病気です。過活動性膀胱となる背景に前立腺肥大症であったり、糖尿病の悪化や脳卒中・パーキンソン病などの他の病気を背景とした神経因性膀胱が存在することもありますが、原因が不明であることも少なくありません。

原因となる病気

  ✓前立腺肥大症(男性のみ)

  ✓神経因性膀胱(糖尿病の悪化・脳卒中後遺症など)

  ✓原因が不明

残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)

残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残る状態を言います。前立腺肥大症による排尿障害が進行したり、糖尿病の悪化などで膀胱を収縮させる神経が障害されると膀胱がうまく収縮出来なくなって排尿障害を引き起こし残尿が発生します。残尿があると、結果的に膀胱に尿を溜められるスペースが少なくなるために、1回の排尿量は少なくトイレに行く頻度が多くなります。

原因となる病気

  ✓前立腺肥大症(男性のみ)

  ✓神経因性膀胱(糖尿病の悪化・脳卒中後遺症など)

多尿(尿量が多いこと)

1日の尿量が著しく増えた状態を多尿と言い、膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病の悪化や、腎機能の低下、内分泌の病気(中枢性尿崩症)、多量の水分摂取、利尿剤などの薬剤、コーヒーや緑茶など利尿作用のある飲み物による尿量の増加などが頻尿の原因となります。この場合、1回の排尿量は150〜200ml以上と正常であるにも関わらずトイレに行く頻度が多くなります。

考えられる原因

  ✓糖尿病

  ✓腎機能の低下

  ✓内分泌の病気(中枢性尿崩症)

  ✓過剰な水分摂取

  ✓利尿剤を飲んでいる

  ✓コーヒーや緑茶などの利尿作用のある飲み物をよく飲んでいる

尿路感染・炎症

膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症になると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿となることがあります。

腫瘍

膀胱がんは血尿が主症状ではありますが、まれに膀胱がんによる膀胱刺激症状として頻尿がみらえることがあります。

心因性(ストレスや精神的負荷が背景)

心因性の頻尿とは、ストレスや精神的負荷を背景に、実際には頻尿の原因となる病気がなかったり、尿量も問題ないにも関わらず排尿のことが気になって何度もトイレに行ってしまう状態です。

上述した通りで、頻尿症状はさまざまな原因で発生します。

診療科的にまとめると以下のようになります。

頻尿の原因・診療科別まとめ

内科

✓糖尿病

✓腎臓病(腎機能の低下)

✓内分泌の病気

✓尿路感染症

✓脳卒中後遺症など神経の病気

泌尿器科

✓前立腺肥大症

✓膀胱がん・前立腺がんなどの腫瘍性疾患

精神科・心療内科

✓心因性(ストレスや緊張・精神的負荷が背景) 

頻尿症状の際に行う検査

これまで述べてきた通りで、単に頻尿症状と言ってもさまざまな病気を想定する必要があり、必要に応じて以下に例示する多角的側面からの検査が必要となります。

尿検査(尿定性・尿沈渣)

尿検査を行うことで尿路感染症の有無であったり、尿糖判定からの糖尿病の存在の確認、尿蛋白や尿潜血判定からの腎臓病の存在や膀胱がんなどの尿路系腫瘍の存在を疑う道筋が立てることが出来ます。

血液検査

血液検査を行うことで、尿路感染症であれば出現する炎症反応の存在や、糖尿病の存在の有無、腎機能の低下の有無、急性・慢性腎炎の存在の有無、内分泌の病気の有無などさまざまな病気の可能性を調べることが出来ます。また中高年以上の男性の場合は、PSA値(前立腺がんの腫瘍マーカー)を検査することも重要です。

超音波検査(腹部エコー)

前立腺肥大症・前立腺がんや膀胱がんの有無を調べたり、腎臓の状態の評価、尿路結石の有無などを調べることができます。

頭部画像検査(CTやMRI)

頭部の画像検査が必要となることは稀ですが、脳卒中後遺症や脳腫瘍の存在、内分泌の病気が疑われた際などに行うことがあります。

頻尿症状の際に行う治療

頻尿を引き起こす『原因疾患』に対する治療を行います。

尿路感染症(膀胱炎など)

抗菌薬(抗生物質)を用いて治療を行います

糖尿病

頻尿が出現するレベルの糖尿病はそれなりに悪い状態であることが多いため、多くの場合は糖尿病の薬物治療が必要となります

腎臓病

一度低下した腎機能を改善させるのは困難ですが、これ以上の悪化を防ぐべく薬物治療や生活指導を行います。

内分泌の病気(中枢性尿崩症)

これは抗利尿ホルモン(ADH)の欠乏が原因であるため、ADHと同様に水分を体の中に保つ作用のあるデスモプレシンと呼ばれる薬による治療が行われます。

脳卒中後遺症など神経の病気(神経因性膀胱)

過敏に収縮する膀胱の動きを抑える効果のある『抗コリン薬』であったり、膀胱の筋肉の緊張を緩め尿を溜める容量を増やす効果のある『β3作動薬』といった薬物療法を行います。両者を併用することもあります。

前立腺肥大症・前立腺がん・膀胱がんなどの腫瘍性疾患

がんであれば手術療法が必要となる事が多く、必要に応じてホルモン療法や上述の『抗コリン薬』や『β3作動薬』での治療を行うこともあります。

心因性(ストレスや緊張・精神的負荷が背景)

ストレスや精神的負荷の原因が明らかな場合はその対策が必要です。精神科や心療内科でのカウンセリングや薬物療法が必要となるケースもあります。

頻尿症状でお困りの方へ

当クリニックは内科クリニックですので、頻尿の原因となる病気のうち、手術を要さない内科系の病気(糖尿病・腎臓病・神経因性膀胱・尿路感染症など)に関する検査と治療が可能です。頻尿の原因のほとんどをこれらの病気が占めます。

ここまで読んで頂けた方は気付かれたかと思いますが、皆さまがお困りの頻尿症状の原因は実は、『糖尿病や慢性腎臓病(糖尿病性腎症・高血圧性腎硬化症)のような生活習慣病』が原因であったりするのです。

糖尿病や慢性腎臓病は余程進行しないと症状がハッキリしない事が多いため、頻尿症状でお困りの方もこれらの病気の有無を調べる検査を受けていない方が多いのではないでしょうか?

糖尿病や慢性腎臓病だけでなく尿路感染症に関しても簡便な尿検査や血液検査でお調べすることが出来ますので、

頻尿症状でお困りの方は当クリニックへご相談ください。

NOBUヘルシーライフ内科クリニックでは生活習慣病を中心に、内科系全般の病気に関する検査・診断・治療を行っております。

今後も検査値や病気の解説コラムを継続していきます。

皆さまここまで読んで頂きありがとうございました。

 

院長 藤原 信治

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