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フォシーガとは?(SGLT-2阻害薬:腎臓病の新しい治療薬として)

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従来の腎臓病治療の課題および新しい治療薬

  • 慢性腎臓病(CKD)に対する治療薬は限られており、特に糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症といった生活習慣病関連CKDに対して治療効果が明確な薬剤は、これまでACE阻害薬およびアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と呼ばれる降圧剤(高血圧の薬)のみでした。
  • SGLT-2阻害薬『フォシーガ(成分名:ダパグリフロジン)』がCKDの治療薬として新たに使用可能になりました(2021年9月より慢性腎臓病への保険適応開始)。

※長らくCKDの新たな治療薬は出てこなかったので、フォシーガの登場に関して腎臓専門医の世界では大きな注目を集めることになりました。

そもそもSGLT-2阻害薬『フォシーガ』とはどんな薬ですか?

フォシーガはSGLT-2阻害薬という糖尿病の薬の一種です。

通常、血液中の糖分(ブドウ糖)は、腎臓の糸球体(身体に必要なものと不必要なものをふるい分けるフィルター)を通して、原尿中に排泄されますが、尿細管という場所で再吸収される為、実際には尿中にはほとんど排泄されません(ただし血糖値が高くなると、尿細管で再吸収しきれなくなり尿糖として排泄されてしまいます)。

フォシーガに限らずSGLT-2阻害薬の作用とは尿細管におけるブドウ糖の再吸収を抑える事で、尿中にブドウ糖を強制的に排泄させるようにする薬剤です。

SGLT-2阻害薬『フォシーガ』を服用することでどんな効果が期待出来ますか?

フォシーガは糖尿病の治療薬なので糖尿病(血糖値)を改善させる事も含めて以下の作用が期待出来ます。

  • 糖尿病(血糖値)を改善させる
  • 腎臓を保護する(CKD悪化を抑制する)
  • 心臓を保護する(慢性心不全の悪化を抑制する)
  • 体重を減らす
  • 貧血を改善する(赤血球を増加させる) 

SGLT-2阻害薬は他にどんな種類がありますか?

日本では下記のSGLT-2阻害薬が保険承認され処方可能となっております。
SGLT-2阻害薬はいずれも基本は糖尿病の治療薬です。

  • フォシーガ(成分名:ダパグリフロジン)
  • ジャディアンス(成分名:エンパグリフロジン)
  • カナグル(成分名:カナグリフロジン)
  • スーグラ(成分名:イプラグリフロジン)
  • ルセフィ(成分名:ルセオグリフロジン)
  • デベルザ(成分名:トホグリフロジン)

※フォシーガ(成分名:ダパグリフロジン)は『糖尿病のない慢性腎臓病』だけでなく『慢性心不全』の治療薬としても保険適応がなされています(2020年11月に慢性心不全への保険適応承認)。

※ジャディアンス(成分名:エンパグリフロジン)は2型糖尿病だけでなく『慢性心不全』の治療薬としても保険適応があります。

※カナグル(成分名:カナグリフロジン)は2型糖尿病だけでなく、『2型糖尿病を合併する慢性腎臓病』へも保険適応があります。

※SGLT-2阻害薬のうち体重減少効果が最も高いのがカナグルであるため、当クリニックの医療ダイエット外来においてカナグルを採用しています。

SGLT-2阻害薬服用の注意点には何がありますか?

フォシーガに限らずSGLT-2阻害薬服用に関する注意点は以下のものが挙げられます。

  1. 尿と一緒に糖分を排出するため、陰部に糖分が付着したままになると膀胱炎などの尿路感染症の発症可能性が高まります。
  2. 尿と一緒に糖分を排泄することに伴う利尿作用がありますので、脱水症防止のために日ごろから適度な水分の補給を心がける事が必要です。
  3. 血糖値を下げる作用により冷や汗や手足のふるえなどの低血糖症状が出現する可能性(万一このような症状が出現した場合、糖質を含むものをすぐに摂取することが必要です)

※上記の理論上の副作用の可能性はありますが、基本的に安全なお薬です。
※ただし、全く食事も水分も摂取できないような病気になってしまった時(シックデイといいます)は上述の副作用出現のリスクが高まるので休薬して担当医師にご相談ください。

SGLT-2阻害薬『フォシーガ』を積極的に使用すべき病状とは?

  • 糖尿病のある方
  • タンパク尿のある方
  • IgA腎症のある方
  • 慢性心不全のある方
  • 貧血のある方
  • 高血圧症、貧血、脂質異常症、高尿酸血症を有するCKDのある方

SGLT-2阻害薬『フォシーガ』使用が推奨されない病状とは?

  • eGFR<15の重度腎機能障害の場合(新規ではフォシーガを開始しない)
  • 日々十分な水分を摂取できない脱水症のリスクのある方(超高齢者など)

SGLT-2阻害薬『フォシーガ』の有効性が現時点で定かではない病状とは?

  • 多発性のう胞腎
  • ループス腎炎
  • ANCA関連血管炎
  • 免疫抑制療法中

※これらの病気のある方へのSGLT-2阻害薬投与に関しては、現時点で十分なクリニカルエビデンスが存在しないため、投薬開始の適応について慎重に判断する必要があります。

※日本腎臓学会より2022年にSGLT-2阻害薬を適正に使用するための基準となる推奨文が発表されています。
CKD治療における SGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation

まとめ

  • SGLT-2阻害薬は糖尿病の治療薬として複数種存在する
  • SGLT-2阻害薬『フォシーガ』は糖尿病のない方であっても、慢性腎臓病(CKD)の
    悪化を抑制する効果がある
  • SGLT-2阻害薬『フォシーガ』は糖尿病のない慢性心不全の治療薬としても有用な薬である

おわりに

NOBUヘルシーライフ内科クリニックでは腎臓病の診療を得意分野の一つとしてお
り、SGLT-2阻害薬『フォシーガ』の使用も積極的に行っております。腎臓病の方・腎
臓病ではないのかとご心配な方はいつでもご相談ください。

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