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eGFRとは、腎機能との関連性について

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eGFRとは

eGFR(推定糸球体濾過量)は、腎臓の機能を評価するための指標です。糸球体濾過率は、腎臓が血液から余分な老廃物や余剰の水分を濾過する速度を示します。eGFRは、血液中のクレアチニン(筋肉の代謝物)の濃度、患者の年齢、性別、人種などの要素に基づいて計算されます。一般的に、eGFRが高いほど腎臓の機能は良好です。

eGFRの数値を放置するとどうなる?

eGFRの数値が低下していくと、腎臓の機能が低下していることを示しています。放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります。

慢性腎臓病の進行

eGFRの数値が低下し続けると、慢性腎臓病の進行が懸念されます。腎臓の機能が損なわれると、老廃物や余分な水分が体内に蓄積し、体全体に悪影響を与える可能性があります。

合併症のリスク

腎臓の機能の低下は、高血圧や貧血、骨の健康に関する問題など、さまざまな合併症のリスクを増加させる可能性があります。

腎不全

eGFRの数値が極端に低下すると、最終的に末期腎不全(腎臓の機能廃絶)が発生する可能性があります。腎不全では、体内の老廃物や水分を適切に排泄できず、透析や腎移植などの腎臓補助療法が必要になる場合があります。


重要なことは、eGFRの数値が低下している場合は、医師との定期的な相談とフォローアップが必要です。適切な治療と生活習慣の改善により、腎臓の機能低下の進行を遅らせ、合併症のリスクを最小限に抑えることが重要です。

eGFRと腎機能について

eGFR(推定糸球体濾過量)に基づいて、腎機能のステージは以下のように分類されます。

第1段階(ステージ1)- 正常または高い腎機能

eGFRが90以上の場合、腎機能は通常または高い水準です。この段階では、腎臓の機能はほぼ正常であり、何らかの腎臓疾患の兆候はありません。

第2段階(ステージ2)- 軽度の腎機能の低下

eGFRが60~89の場合、腎機能は軽度に低下しています。この段階では、一部の症状や合併症が現れる可能性がありますが、まだ腎機能は十分に補償されています。

第3段階(ステージ3)- 中等度の腎機能の低下

eGFRが30~59の場合、腎機能は中等度に低下しています。この段階では、腎臓の機能不全が明確になり、さまざまな症状や合併症が現れる可能性があります。

第4段階(ステージ4)- 重度の腎機能の低下

eGFRが15~29の場合、腎機能は重度に低下しています。この段階では、多くの症状や合併症が現れ、透析や腎移植の治療が必要な場合があります。

第5段階(ステージ5)- 腎不全

eGFRが15未満または透析治療中の場合、末期腎不全が診断されます。この段階では、腎臓の機能はほとんど廃絶しており、透析または腎移植が不可欠な治療となります。

これらのステージは、腎機能の低下の程度を示し、治療や管理の方針を決定するための目安となります。ただし、各ステージでの症状や治療法は個人によって異なる場合があります。

eGFRが低い原因

慢性腎臓病(CKD)

CKDは最も一般的なeGFR低下の原因です。長期間にわたって腎臓の機能が低下し、eGFRの数値が低くなります。CKDの主な原因としては、高血圧や糖尿病などの基礎疾患、腎臓の炎症や糸球体の障害、先天性の腎臓異常などが挙げられます。

腎臓感染症(腎盂腎炎)

腎盂腎炎は腎臓の感染症であり、eGFR低下の一因となります。細菌が尿道から腎臓に侵入し、腎臓の組織を炎症させます。この炎症が腎臓の機能を低下させ、eGFRの数値を下げることがあります。

腎臓結石

腎臓結石がeGFRの低下を引き起こすことがあります。結石が尿路を通る際に腎臓に損傷を与え、炎症や梗塞を引き起こすことがあります。これにより、腎臓の機能が一時的または持続的に低下し、eGFRの数値が低くなります。

自己免疫性疾患(例:全身性エリテマトーデス、ANCA関連腎炎、好酸球性多発血管炎など)

自己免疫性疾患(膠原病)は、免疫系が正常な組織を攻撃する状態です。膠原病には全身性エリテマトーデスやANCA関連腎炎、好酸球性多発血管炎など様々な種類が存在します。この膠原病による腎臓への攻撃で炎症が生じ、腎臓の機能低下や糸球体の損傷が起こることがあります。

薬物等の使用

特定の薬物等の使用は、腎臓に損傷を与えることがあります。痛み止めとして処方される事が多い非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、一部の抗生物質、抗がん剤などが、腎臓の機能低下や糸球体の損傷を引き起こす可能性があります。これらの物質は、腎臓に直接作用したり、血流や尿細管の機能を妨げたりすることで、腎臓の健康に影響を与えることがあります。

eGFRが低い時に行う検査

血液検査

  • クレアチニン:血液中のクレアチニンレベルを測定し、腎機能の評価に使用します。クレアチニンは腎臓で生成され、通常は尿に排泄されます。腎臓の機能低下により、クレアチニンのレベルが上昇します。
  • 血尿素窒素(BUN):血液中の尿素窒素レベルを測定し、腎臓の機能を評価します。腎臓が正常に機能しない場合、BUNのレベルが上昇します。

尿検査

  • 尿中のタンパク質:腎臓の機能低下により、尿中にタンパク質が漏れ出すことがあります。タンパク質尿は腎機能の異常を示す可能性があります。
  • 尿中の赤血球:IgA腎症などの病状では、尿中に赤血球が増加することがあります。

腎臓超音波検査

超音波を使用して腎臓の形状や大きさ、腎臓に異常があるかどうかを評価します。腫瘍や結石などの異常が見つかる場合があります。

腎生検(必要な場合)

症状や検査結果によっては、腎生検が行われることがあります。これは、腎臓の組織を採取して病理学的な評価を行う手順です。腎生検により、具体的な病理学的診断が得られ、治療計画が立てられることがあります。

eGFRを上げるために行う治療

eGFRを上げるためには、以下のような治療が一般的に行われます。

基礎疾患の管理

もしeGFRの低下の原因が他の基礎疾患(例:高血圧、糖尿病)に関連している場合は、その疾患の管理が重要です。例えば、血圧をコントロールするために降圧薬の投与や適切な食事療法を行ったり、血糖値を正常範囲に保つためにインスリンや経口血糖降下薬を使用したりします。

薬物療法

特定の薬物は腎臓の機能を保護するために使用されることがあります。腎保護薬としては、血圧を下げる薬(降圧薬)、タンパク尿を減らす薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬)、炎症を抑える薬(ステロイド)などがあります。昨今ではSGLT-2阻害薬の有効性が提唱され使用されるようになってきております。これらの薬物は、腎臓の血流を改善し、糸球体の損傷を軽減することでeGFRの改善を促すことがあります。

栄養療法

適切な栄養摂取は腎臓の健康維持に重要です。特にタンパク質の摂取量や種類、塩分摂取量、液体摂取量などに配慮する必要があります。栄養士や管理栄養士の指導のもと、適切な食事療法を行うことが重要です。

生活習慣の改善

喫煙や過度の飲酒などの生活習慣は腎臓に悪影響を与えることがあります。禁煙や適度な飲酒、適切な運動、ストレス管理などの生活習慣の改善は、腎臓の健康維持に役立つことがあります。


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